雛人形
2023年09月15日

石川潤平の技2

 


 


 

前回に引き続き、石川潤平作品の筆仕事の1つである髪の毛の生え際を描く毛書きをご紹介いたします。 男雛には長い線、そして短い線を3本、また長い線と繰り返し描いていきます。 線の長さで強弱をつけることで男性の力強さを、また長さの違いにより遠近感を出し迫力も表現しています。


 

 

 女雛には少しずつ線の長さを調整しながら富士額となるよう描いていきます。ゆるやかな山の稜線のような弧は女性の柔らかさを表現しています。 どちらもお顔の左側のこめかみあたりから書き始め、左右均等になるようぐるっと一周書いていきます。 また毛先、先端までご覧ください。細かな部分ですが、繊細で美しい一本の線に職人の技量がはっきりと現れます。 書き直しや修正ができる描き方がほとんどですが、この技法は修正などができない一回勝負! 本物の職人技です。